生贄の花嫁      〜Lost girl〜
劉磨さんに逃げてみろと言われて必死に劉磨さんの腕を押すがびくともしない。でも…ここで負けたら彼らを助けられない。


「俺らは男で花月は女だ。力では勝てないんだからおとなしく守られていろ。」



私の体から少しずつ劉磨さんの腕が離れていく。やっと自由になった私の体は少し震えていた。


「どうしても…白銀くんたちをこの屋敷においておけないんですか…?」

「今ので分かっただろ。お前のためにもこいつらをおけないこと。」


「花月…もういいよ。俺ら、もう出ていくから。」
「お騒がせしました。」
「じゃあね…花月ちゃん。」


3人が部屋から出ていく。私には何もすることができなかった。彼らは私を助けに来てくれたというのに……私には何もできないの……?


「花月、そんな悲しい顔しないで……これはしょうがないんだよ。花月のためなんだから。」

「私のため…?奏たちのためじゃなくて…?」

「え…?」



「奏たちが嫌なだけなんじゃないの…?白銀くんたちがいること。」

「ちょっと…花月…?」



「私…白銀くんたちを止めてくる。」

「止めてくるって…そのあとどうするの?」



「皆が…白銀くんたちを部屋に泊めたくないなら私の部屋に泊める。」


「それ…どういう意味か…。」

「白銀くんたちはそんなことしないよ…。それに…私は知りたいから。黒鬼院さんの目的を。」



急いで階段を上り白銀くんたちの後を追う。自分でもなんでこんなに彼らに執着するのかわからない。でも1つ確かなのは彼らの力になりたいということ。


「皆…待って。」

「花月ちゃん!?どうして…。」

「あの…行く場所がないなら泊まっていって…。」


「でもあいつらは…。」


「協力してもらえなかったから私の部屋しか貸せないけど…。私は黒鬼院さんのことを知りたい。」



「なるほど。賛同してくれたのは貴女だけということですか。本当にいいのですか?彼らの言うことを聞かず。」


「いいよ。喧嘩しちゃったから…。」
< 111 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop