生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―悠夜side—

「この子を貰っていく代わりに1ついいことを教えてあげる。黒鬼院様は次の満月の夜。つまり今夜0時に儀式を始めようとしているわ。もし助けるならそれまでに屋敷へ来ることね。」


「キズ。なんでお前はそこまで黒鬼院様に従うんだ。」

「言ったでしょ、目的のためだって。私はあんたたちみたいに裏切らない。」




それだけ言い残しキズと花月さんの姿は消えた。


「なんで俺らはいつも…花月を守れないんだ……。」



ガチャ





何とも言えない空気の中突然開いた扉。




「なあ、いますごく強い力を感じたけど何かあったのか?」

「劉磨…。」

「花月チャンが攫われたわ。」


「は?何言ってんだよ、またそいつらが…?」

「違うよ。花月ちゃんを連れて行ったのはキズちゃんだよ。」

「止めることができず申し訳ありません。今の柚さんはもう私たちのことを仲間とは認めておらず助ける術もありませんでした。」




「俺らが…いなかったからか…?何が助けるくらいはできるだ……俺…何にもできてねえじゃんかよ。」

「劉磨クン落ち着いて。」

「俺のせいだ…。」




「助けに行けばいいだけでしょ。」
「奏。」


「いっぱいいろいろ考えた。そいつらと仲良くできないこと……花月を責めてしまったこと。僕たちが全員いれば花月をまた失うことを避けられたかもしれない。でも僕たちはそれができなかった。だから…だから、今の僕たちがすることは…できることは1つしかないでしょ?」


「そうですね……彼女を助けに行きましょう。」



無言で皆首を縦に振る。敵や味方など小さなことにとらわれている場合ではない。



「悪かったな…お前らのこと認められなくて…。」

「別にいいっすよ。元はと言えば俺らが挑発したのが悪いんですから。」


「僕も…悪かったよ。」


「行こう。黒鬼院の屋敷に。」
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