生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「ずいぶん遅かったけど2人で何かしてたの?」
「何もないよ!」

「怪しい……花月がそんなに焦るなんて。」

「本当に何もないって。劉磨さんからも言ってください…。」


「どうしようかな~……まあ、いいものは見せてもらったけどね。」
「いいものって何…?」

「だから何でもないって。」
「実はさ、花月って……」

「劉磨さん!!」



「分かった、言わないから落ち着けよ。」




「こんな花月、初めて見た。」


「そ、それより、皆さん喉乾いたと思うので麦茶をどうぞ。」



「花月は面白いね。表情豊かで楽しい。」

「柚さんまで……。」








「私…傷が回復したら旅に出ようと思う。」

「え……?」


「いつまでも皆にお世話になるわけにはいかないし、ちゃんと吸血鬼としての体を手に入れたいから。そして……私みたいな境遇の子を助けたい。そうしたら…きっと戻ってくる。だから……その時までに花月は誰にするか決めておいてね。」



「決めるって何を…?」
「もちろん、旦那様だよ。もしくは彼氏だね。」
「だ、旦那!?」



「誰と結ばれるのか楽しみだわ。とても面白そう。」

「そんなの楽しみにしないでください!」


「まあ、もし何かあればすぐに駆けつけてあげるから。だから、貴方たちも頑張るのね。」


「すごいプレッシャーね……。」
「なぜ私たちは背中を押されているのでしょうか。」


「柚、花月は僕が貰うの。」

「奏、花月のこと好きじゃないって言ってた…。」

「そんなの僕言ってないも~ん。」


何だかんだ言って私はこの賑やかな空気が好きなのかもしれない。すべてが終わって本当に良かった。
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