生贄の花嫁      〜Lost girl〜
泰揮クンに抱えられ保健室へ来た。消毒薬の匂いがする。


「先生、いないのね……アタシが手当てするからここに座っていてね。」



近くに合ったソファへと降ろされる。手当ての道具を探している泰揮クンはなんだか楽しそう。


「泰揮クンは……手当てするの好きなんですか…?」

「あらぁ、どうして?」

「薬を作ったり、研究室をもっているから、そういうの好きなのかなって……。」


「そうね……好きな人のためなら、何でもするわよ。」



好きな人……。なんだか胸がモヤっとする。



「胸を抑えてどうしたの…?何か苦しい?」

「なんだかモヤっとした気がして……気のせいかもしれないですけど……。」



「それはアタシが、好きな人のためならって言ったからかしら……?」


そうなのかな……?自分でもなんだかよく分からない。今までこんな感覚ってなかったのに……


「可愛いヤキモチね。そう思ってもらえるようになったのは、少しリードできたってことかしら……?」



私の足の手当てをしながら話を続ける泰揮クン。


リードってなんだろう。


「そんな可愛い顔しないの。理性が飛んだら危ないわよ。」
「理性が飛んだら……危ないの…?」


「……もう、そういう顔は男の前でしちゃだめよ。足の方は軽い捻挫だと思うからしばらくは激しい運動はしないでね。教室まで送るわ。」


なんか、はぐらかされた気がする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さあ、到着よ。」



教室まで来る間、泰揮クンは何も言葉を発しなかった。


何か気に障るようなことしちゃったのかな……?


「そんな顔しないの。アタシは怒ったりしてないわ。ただ、花月チャンにはもう少し危機感持ってほしいかな。」

「危機感……?」


「その意味を知って、もっと知りたいと思ったらアタシのところにいらっしゃい。アタシのすべてを尽くして教えてアゲル。」





「あー!花月きた!」
「足、大丈夫か…?」

「軽い捻挫よ。2,3日安静にしていれば治るわ。」


「さっきはごめん……俺調子に乗りすぎた。」

「大丈夫だよ。それに、運動苦手なのは本当なの……。だから気にしないで。」



「そこで、僕たち考えたんだけどね、いつも花月にはたくさん迷惑かけてたから、今回は花月のために一肌脱ごうと思って。」

「…?」

「題して、目指せ体育祭で大活躍!作戦。」


「もちろん足のケガが治ってからだけど、テストが終わったら体育祭の練習が始まる。その間に俺たちで何か力になれないかと思って……。」

「ありがとう。すごく心強いよ。」


「うちの体育祭はね、毎年各学年から男女1人ずつMVPが選ばれるんだよ。MVPになると何でもやりたいことを1つできる権利がもらえて、もっともっと学校生活が楽しくなるよ。」




やりたいこと……。



「去年のMVPの人は、海外旅行したり、学食無料権を作ったりしてて盛り上がったんだ~!」

「皆もMVP、目指すの…?」

「もちろん!だから一緒に頑張ろう!」





「あらあら、やんちゃなことして怪我しないようにね。それじゃあ、アタシは教室に戻るわ。」

「泰揮クン、ありがとう…!」


「あっ、そうそう、花月チャン。ああいう顔はアタシ以外に見せちゃだめよ。」



「ああいう顔って何!?泰揮と何があったの!?」
「何って……理性が飛んじゃうって話かな……?」



「泰揮―!!」
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