生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「明日から2日間休み明けのテストを行います。前回のテストでは初めて赤点者が1人もいませんでした。今回も皆さん頑張ってくださいね。」



朝のホームルームとは思えない内容。


そんなに大切なテストってことかな…?


「もう俺の頭われそう。一夜漬けなんて無理だ……。」

「悠夜さんに勉強教えてもらったんじゃないの…?」

「教えてもらったんじゃない。教えられたんだ。嫌がる俺を椅子に縛り付けて何時間も呪文みたいに数式唱えやがって。」

「悠夜にあんだけ教えてもらってて赤点取る方が不思議だよ。僕なんか悠夜に見てもらった科目は全部満点だったし。」
「この嫌味野郎……。」



「花月…今回も見てあげたら…?劉磨可哀そう。」

「そうだよね……うん、わかった。1日2日で力になれるか分からないけれど、頑張りましょう、劉磨さん。」

「ああ、頼む。」



といっても1晩で赤点回避を最低ラインとしても、劉磨さんの学力で考えるとやっぱり徹夜だよね。


「今日のお昼までに各科目の苦手部分をまとめておいてください。それで対策を考えます。」

「わかった。今回は、花月は俺のためだけに勉強を見るんだからお前ら邪魔するなよ!」

「何、馬鹿なえばり方してるの。花月も自分の勉強がある中わざわざ見てくれるんだから感謝しなよ。」


「花月……差し入れしに行っちゃだめか…?」

「ダメに決まってんだろ。俺の集中力が切れる。」


「じゃあ私が差し入れの料理を……」
「いや、絶対やめろ。それなら差し入れなんかいらん。」

今回もなかなか手がかかりそうです。
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「花月、できた!俺の苦手まとめたノート。」


劉磨さんから渡された紙は予想していた通り多く文字で埋められていた。


この量…本当にどうにかできるかな……。


「国語は古典と漢文。数学はほとんど全部。英語は長文。社会は歴史全般、理科は化学と生物。どう考えても全教科を良い点数取るのは無理ですね。」

「やっぱり……。」


「でも、逆にこれだけ分かっていなければ教えるのは楽ですよ。知識を埋めて慣らしていけばいいので。」

「花月、劉磨が固まってる。」

「とにかく、帰ったら勉強漬けですね。対策ノートは作りますけどそれだけじゃダメなので。」

「作るって言っても時間ないんじゃない?」

「大丈夫だよ。授業聞きながらでもノート作れるから。」

「なんか花月が気の毒に思えてきた。」


「いや、授業内容はもう昔勉強したところだから全然平気だよ。役に立てることの方が嬉しい。」
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どの授業もテスト前の対策授業だったため思っていたよりも早くノートを作り終えた。これをまた1からすべて教えるって考えると疲れそうだけど。


「劉磨さん、これ、対策ノートです。」

「もうできたのか…!?」


「簡単にしか作ってないからもちろん問題こなしていかなきゃいけないけれど……基本的な公式とか用語は全部書いてあるよ。」


「今日はこのまま帰ったら花月はずっと劉磨につきっきりなのか……。僕、帰りたくないな……。」

「俺がいるよ……。」
「聖……僕が一緒にいてあげるからね。」




本当に2人は仲がいいな。


「みなぎってきたぞー!」
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