生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「まずは腹筋、背筋、スクワットかな。」


「……?」

「そこからか……。まず横になって足を三角に立てる。両手を胸に当ててお腹の力を使って起き上がる。」


奏の言われた通りにやるが…起き上がれない。劉磨さんや聖さんは足を上げているのに早いスピードで上半身を上げている。


「アタシが足を抑えていてあげるわ。その方が起き上がりやすいわよ。」

「ありがとう…泰揮クン。」



泰揮クンが私の足に乗ってくれたおかげで少し上半身が浮くようになった。もう少しで起き上がれる。

「……できた。」

「そうそう、上手よ。とりあえずあと9回頑張りましょう。」


初めてのことで体への負担は大きいけれど、回数を増すごとにコツがつかめてきた。
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「はい、終わりね。よくできました。」

「お水をどうぞ。レモン水なので口の中もさっぱりするかと。」
「ありがとうございます、悠夜さん。」


「体を動かすことは悪いことではありませんが、慣れないことをすると体を痛めます。できることを少しずつやっていきましょう。」

「はい、頑張ります。」


「お前も苦手なことあったんだな。なんか安心した。」


「護身術とか、剣術とかは習っていたけれど、走るのは昔から苦手なの……。型はできているのに体力が無いってよく怒られた。」

「今日は俺らが花月に教える日だ。無理はせずに頑張るぞ。」

そうか……今日は教えてもらえる日なんだ。なんか嬉しいな…。



「今日はアタシたちが花月チャンの先生よ。たくさん甘えてちょうだいね。」
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