生贄の花嫁      〜Lost girl〜
あずさちゃんの口調は本気だった。でもどこかに嘘があるのがすぐに分かった。きっと2人は…私を守るために…あんなことを言ったんだ。


「花月さん、どうしたのですか……?」
「悠夜さん……?」

「劉磨と聖から貴女が消えたと聞き探していました。グラウンドに戻りますよ。」



≪そうやって、いい人でいると傷つけなくていいものまで傷つける。大切だと思うものを守れる世界で生きてな。≫



「少しだけ……1人にさせてください……。」

「何かあったのですか……?」


「……今は何も…考えたくないんです。それより…奏を探してあげてください。私のせいで……奏が酷い目にあったのかもしれないんです。」
「貴女が望むことでも…1人にさせることはだけはできません。」

「私は……もう…皆さんといたくないんです。放っておいてください。」


「ま、待ちなさ……」




悠夜さんの言葉を最後まで聞かず私は走った。逃げたと言った方が正確かもしれない。これ以上一緒にいたら、私はきっと皆を傷つけてしまう。自分のせいで誰かを傷つけてしまうのはもう…嫌だ。私は……私は…誰かを傷つけるくらいなら自分が傷つくほうがいい。
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