生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「じゃあ俺も部屋で着替えてくる。ついでに楓にも衣装渡してくる。」

「助かるよ、聖。」







「あの……着てはみたんですけど…。」

「あらあら、やっぱり可愛いわね。本当は魔女とかメイドと迷ったけど花月チャンには清楚なのが1番よね。」
「は、はあ……?」



いや、こんなにフワフワした洋服着るのなんて初めてだし動きにくい。



「皆は何のコスプレ…なの…?」

「劉磨は狼男、聖は海賊で悠夜は執事、泰揮は魔法使い。因みに僕は包帯男のアレンジ。」


「そうなんだ。それなら本当に外国のお祭りっぽいね。」

「僕たち、もともと吸血鬼だからコスプレなんていらないけど、今日くらいはこういうのもいいかなって。」

「うん。なんだか新鮮な気分だよ。あれ、聖さんと楓ちゃんは?」


「あそこ。」









「楓、そろそろ出てこい。皆待ってるぞ。」
「い、嫌よ、こんなの。似合わないもの。」


楓ちゃん、大広間のドアのところに隠れているのね……。




「楓ちゃん、おいで。」

「だって…きっと笑われるもん……。」


「そんなことしないよ。一緒にパーティ、しよう。楓ちゃんと一緒にパーティしたいよ。」


「…花月が…そう言うなら……。」







ゆっくりと姿を現していく楓ちゃんの顔は真っ赤で、とても可愛らしかった。衣装も似合っている。




「馬子にも衣裳だな。」
「う、うるさい……。やっぱり部屋に戻る!」


「あ、待って、楓ちゃん。すごく似合っていて可愛いよ。楓ちゃんの可愛い姿が見られて嬉しいな。」

「花月の方が綺麗で可愛いもん……。」

「…2人とも、似合ってる。」


「ありがとう、聖さん。聖さんの海賊もカッコイイね。」

「お、俺の狼男もワイルドだろ!?ここの筋肉なんか……」
「筋肉なら聖の方があるし背も高い。邪魔しないでよ、KY男。」

「なんだと、このガキ。」
「何よ、筋肉バカ。」


「2人とも、落ち着いて…!」



「あらあ、微笑ましくていいじゃない、お似合いで。」

「誰がこんなガキ。」
「それはこっちのセリフよ、ナルシスト。」


「…息、ピッタリだな。」






「全く、騒がしくするのも節度を持ってほしいですね。」

「悠夜、今夜は無礼講よ。そんなつまらないこと言わないの。」

「無礼講…明日の片づけが怖いですね…。」




「さ、衣装も着たことだし、これからゲームを始めるよ。その名も、トリック&トリック!」
< 187 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop