生贄の花嫁      〜Lost girl〜
あれから3時間目までの授業が終わり次は移動教室…なのだけれど…

「劉磨、体調大丈夫か…?」
「さすがに…このままじゃまずいから保健室で寝てくるわ。」

「1人で平気?」
「大…丈夫。」

重そうな体を引きずるようにして劉磨さんが歩いていく。もしかして…今朝のことと関係があるのかな…?

「花月は劉磨のこと心配か?」
「うん…。」

「たぶん大丈夫だよ……でも今は花月は近づかないほうがいいかも。」
「え…?」

「ごめん、気にしないで。次の教室に行こっか。」

そういって向かった先は理科室。人体模型や骸骨がなんとまあ…科学的な…それにいろんな道具も置いてある。

「見て~!僕骸骨~!!」

桃瀬さんが操り人形のように骸骨の標本を使って遊んでいる。

「かわいいぞ、奏。」
「ちょっと聖、僕が欲しいのはそんな反応じゃないよ~。」

「花月、どうかしたか…?」
「ごめんなさい、私、劉磨さんの様子見てきます!」
「あ、花月、待って…」

止めようとする桃瀬さんの手を振り切り廊下へと走っていた。

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保健室ってどこなんだろう……聞いてから来るんだった。

「う…う…。」
「だ、誰!?」

慌てて階段を駆け下り踊場へ出ると、そこには劉磨さんが倒れていた。

「り、劉磨さん、大丈夫ですか!?」
「お前…何で…。」
「劉磨さんのことが心配で来たんです。動けますか…?」

「…俺から離れろ。」

体を起こしているときも辛そうな息切れが聞こえる。こんなに無理をしていたんだ…

「頼むから…離れてくれ…。」
「もしかして…血を吸っていないからですか…?」
「なんでそれを……。」

「朝の会話を…聞いてしまいました。どうすれば……どうすれば劉磨さんは楽になれますか……?」
「俺に構うな。」


「血を吸えば……楽になりますか……?」

「……そうだ……俺は吸血鬼だからな。」
「それなら……私の血を吸ってください。」

「お前…自分で何を言ってるのかわかってんのか!?それに、こんなところで吸ったら…。」
「分からないですよ!……でも、助けてくれたから……。あの時劉磨さんは私のこと…助けてくれたから……だから…。」

劉磨さんの口元に自分の首筋を寄せネクタイを解く。こんなこと自分でするのは恥ずかしいけれど仕方がない。


「……ごめん……。」
「はい…。」

劉磨さんが顔を埋めた瞬間に身体中に電流のような衝撃が走った。首筋を這っている彼の舌が熱く、気持ち悪い…。


でも…これで私も劉磨さんを……助けられた……?


全身から力が抜け、目の前が真っ白になるとき、誰かが私の名前を叫ぶ声が聞こえた。
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