生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「だーからー、入り口はもっと可愛くした方がいいと思うの。」
「だからってリボンだらけはねえだろ。男が入りにくい。」

「そうだそうだ。もっとシンプルでいんだよ。」

「えー、でも何もないとかダサくない?」



「花月ちゃんはどう思う!?」

「うーん……リボンがあるのは可愛らしいけれど、飲食店だしあまり派手にはしない方がいいかな。星とか違った模様とかも入れてみたら男性でも女性でも入りやすいと思うよ。内装も大事だけれど、一番はメニューに合った色使いとかテーブル周りのアレンジに気を遣うほうがお客さんも居心地いいかも…。小さい瓶にお花を入れて飾ったりテーブルクロスをひいてみたり……。」

「それいいかも!白梨さん、内装デザイン班に入ってよ!さすが本物のお嬢様って感じで、おしゃれな喫茶店になりそう。」
「お嬢様ってことはテーブルマナーとかも知ってるんだよね!?食器とかも見てほしい!」


「お役に立てるなら、頑張ります…!」





「花月、人気だねー。」

「まー、思ったよりもクラスの子たちが花月ちゃんに普通に接してくれて安心した。吸血鬼と人間って分かり合えないものだと思っていたし、花月を傷つけなければいいなって…ずっと思っていたから。」

「種族の違いは簡単には越えられない。でも…皆が花月を慕うのは、花月の人間性に惹かれるからだと思うよ。あの子が本当に緑川くんと結ばれて国のトップになったら…この世界もきっと変わるかもしれない。」

「吸血鬼も人間も階級も身分の差も…何もない共存の世界になるかもしれないね。」

「ということなんで、くれぐれもよろしくね、緑川くん。」
「………ああ。」







「ねー、白梨さん、明日の買い出し一緒に行こうよ。食器とかグラスも見てもらいたい!」
「あ、私はいいけど……その…。」



「楽しんでおいで、花月。」
「うん!」



買い出しをして、準備をして……初めての文化祭まで毎日が楽しみになってきた。


早く文化祭にならないかな……。
< 202 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop