生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―聖side—

花月が水瀬たちの家に行って1日経った。いつもなら皆で笑って過ごしたり花月と2人で話をしていた。花月がいないのは……寂しい。


「自分でOKしたくせに落ち込んでるわけ…?」
「…ああ。」


「聖クン~、ちょっと手を貸してちょうだい。」
「ほら、泰揮が呼んでるよ。」
「…ああ。」


「花月が浮気でもしてる……って思ってる?」
「…そんなの絶対にない!」



奏の言葉に俺の体が反応した。水瀬たちといるんだから浮気なんてしているはずがない。花月に限ってそんなことするはずがない。


「そんなに落ち込むなら花月に首輪でもすれば?どうせまだクリスマスプレゼント買えてないんでしょ、悩みすぎて。」


奏の言う通り花月へのクリスマスプレゼントはまだ買えていない。本当は花月とデートしてその場でプレゼントしたかった。水瀬たちとじゃなくて俺たちと……俺とクリスマスを過ごしてほしかった。


でも、あんなに嬉しそうな花月を見たら、そんなこと言えなかった。


「…はあ。」

「聖さ、もう少し我が儘になってもいいんじゃないの?別に花月を縛り付けろって言うわけじゃないけど、自分のものだって印くらいつけといたほうがいいよ……。」


いっそ俺の腕の中に閉じ込めて置ければと思うこともある。花月は無防備だから取られないように俺が守らないといけないと感じるときもある。


「…でも、花月には自由に笑って過ごしてほしいから無理だ。」

「あ、そう。それなら別にいいけどこれを見ても同じこと言える…?」



奏が俺の顔の前にスマホを差し出した。画面には花月が胸元に切れ目が入った服を着て笑っている写真が写っていた。



「これ、さっきSNSにあがった画像。水瀬さんたちも一緒みたいだけど……。女子会やるって言ってたけどこれ、どう見ても只の女子会じゃないよね。」


「ちょっと外出てくる。」

「ちなみにこれ、ハニーショコラって店みたいだよ。」


「…夕飯までには戻る。」




花月が俺に嘘つくなんて……そんなこと絶対にない。

絶対に……。
< 260 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop