生贄の花嫁      〜Lost girl〜
「藤林先輩、連れてきたよ。」

楓ちゃんに連れられ着いた先には悠夜さんが待っていた。


「とても……綺麗ですね。この扉の先で皆が待っていますよ。」
「はい……。」


「私は、父親…の代わりを務めさせていただきます。さあ、腕をどうぞ。」


悠夜さんの腕に自分の腕を絡ませる。呼吸を落ち着かせていると目の前の扉が少しずつ開いていき景色が広がっていく。



劉磨さん、奏、泰揮クン、柚さん、楓ちゃん、結愛ちゃん、あずさちゃん、輝石くん、李仁さん、琉生くん、聖さんのご両親、安海くん、泉くん、海未さん。そして、神父様の前で待っていてくれる大好きな聖さん。


大好きな皆の前を歩くのは恥ずかしいけれど、少しずつ聖さんのもとへと向かっていく。



「お2人とも向かい合ってください。」


「…花月、綺麗だ。」
「ありがとう……。」


「それでは、指輪の交換を。」


グローブを取ると、聖さんが薬指に指輪をはめてキスをしてくれる。私も聖さんの薬指に指輪をはめる。


「新郎、緑川聖。あなたは白梨花月を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います。」


「新婦、白梨花月、あなたも誓いますか?」
「はい、誓います。」



「ここに2人を夫婦として認めます。それでは、誓いのキスを。」



聖さんがベールをあげ口づけを交わしてくれる。今日の幸せをゴールとせず、これからスタートしていこう。この命ある限り、築いていこう、楽しい未来を。
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