生贄の花嫁      〜Lost girl〜
―4年後―

「こら、聖月(るな)、聖花(せいか)、待ちなさい~!」

「きゃ~、ママから逃げろ~!」
「逃げろ~!」


結婚式をあげて少ししたころ聖花と聖月を妊娠していることが分かった。純血種の聖さんと元人間の私の間の子供ということで批判の声もあったが特に異常などもなく無事に出産することができた。



ピンポーン


「あ~、お兄ちゃんたちが来た!」



「ほら、チビども、お菓子だ。」

「わあ~、劉磨兄ちゃん、あんがとお。」
「ありがと、お兄ちゃん。」


「まったく、劉磨がこんなに子供好きになるとは…。」

「まあまあ、いいじゃないの。それより、久しぶりに会えたんだもの、ゆっくりしましょう。」


「皆さん、来てくれてありがとうございます。今、お茶の準備をしますね。」

「相変わらず、使用人は雇っていないのですか…?」

「はい。自分たちでできることは自分でしたいですし、聖月と聖花にもそうなってほしいですから。」


「花月チャンが幸せそうでよかったわ。あの子たちを産むときも世間の声もあったし大変だったでしょ?まったく、毎度毎度反対派を煽る人たちが多くて嫌になっちゃうわよ。」


「そうですかね……私はあの子たちを身籠って、生まれてきてくれて幸せでしかなかったです。だって、私と血がつながったかけがえのない家族ですから。」


「なんだか随分とたくましくなったわね。あ~あ、お母さんは寂しいわ。ねえお父さん。」
「まだその設定を使いますか。」

「なによ、結婚式のときは進んでお父さん役やってくれたじゃない。」

「けじめ、ですよ。大切な人ですから笑って送り出したかっただけです。貴女が幸せならそれで構いません。」
「んもう、素直じゃないんだから。」




「ママ~、何の話してんの~?」

「花月チャンの結婚式のときのお話よ。素敵な花嫁さんだったんだから。」


「ママは花嫁さん~!」

「そうですね…私は、生贄の花嫁ですから…。」



「違うわよ。貴女は祝福の花嫁、でしょ。生贄だなんてもう誰にも言わせないわ。出会う人すべてを幸せにしてくれる祝福の花嫁。立派なお妃様になってね。」

「はい!」



大切なものを忘れず守り、これからも共に未来を築いていこう。諦めずに何度でも、何度でも。そうすれば幸せがきっと、待っている―――

―終―
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