生贄の花嫁      〜Lost girl〜
いつもよりも早く起きてメイクをして、用意した勝負服を着て、髪の毛も整えて、待ち合わせの場所へと向かう。奏くん、どんな反応するかな。


「まだ、来てないか……。」


近くのベンチに座る。休日の朝だからか人通りも少ない。


今日はどこに行くんだろう。私たち吸血鬼だからやっぱり日が当たらないところかな。



「ま、待たせてごめん……ね。」

「おはよう、奏くん。」


「……おはよう、水瀬さん。洋服、似合ってる。」
「あ、ありがとう……。」


なんだろう。奏くん、いつもよりも雰囲気が柔らかい気がする。あずさと選んだ服のおかげかな…?


「ど、どこ行こっか…。」

「僕、前から行きたかった遊園地があるんだ。そこでいい?」




奏くんが遊園地……もしかして、今日のデートって、奏くんの本命の人とのデートの予行練習……?そうだよね……私なんか、眼中にないよね。


こんなの…バカみたい。


「うん、行こう。私、遊園地好きなんだ!」
「うん。そうだと思った。ほら、行こう。」


前に差し出される手。手を繋ぐのも…予行練習なのかな。

「うん……行こうか。」
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