生贄の花嫁      〜Lost girl〜
アトラクションに乗って、一緒にお昼を食べて幸せな1日。


夢だった奏くんとのデート。なのに、心が切ないな。


「1日ってあっという間だね。もう夕方だ。」

「そうだね……奏くんは今日、楽しかった…?」


震える声で奏くんと話をする。

ダメ、泣いちゃダメ。これは奏くんのデートの予行練習なんだから。勝手に舞い上がってた私が……悪いんだから。



「うん、楽しかったよ。」

「そっか……それじゃあ安心して本命の人とデートできるね。」

「え……?」



「今日のこれって、予行練習だったんでしょ?分かってた。奏くんは私とじゃなくて他の誰かのことを好きなんだって。私が好きでいても無駄なんだって……!」

「ちょ、ちょっと待って。予行練習って何のこと!?僕は今日、僕のことを好きだと思ってくれる子に会いたかっただけなんだ。」

「え……?」


「前から水瀬さ……いや、あずささんに言われてたんだ。僕が……何も持ってなくても…何もできない男でも変わらず僕のことを好きでいてくれる人がいるって。だから今日はその人に会いたくて、デートをセッティングしてもらったんだ。」


「え…じゃあ、今日のは…私とのデートだったの…」


「待ち合わせ場所に着いたときは驚いた。だって、いつもと変わらず僕に向けてくれる笑顔があって、僕のためにおしゃれもしてきてくれて……僕のことを好きでいてくれてるってすぐに分かったから。だから僕は君に賭けてみたんだ。僕がフェロモンの能力を使わなくても僕のことを…好きでいてくれるのかって。」

「え…能力…?」



「でも君は、能力を使ってないのにいつもみたいに……いつも以上に笑顔で一緒にいてくれて、僕がずっと望んでいた人なんだって思ったよ。」



「それって……期待、してもいいの…?」


「期待……は困るかな。」

「そ、そうだよね…調子に乗ってごめんね。」

「違うよ……期待じゃ困る。僕と…付き合ってくれなきゃ困るってことだよ、結愛。」



今、奏くん、付き合ってくれなきゃ困るって言った…?私の名前を…呼んでくれた…?



「これ、一応告白なんだけど、どう…かな…?」


「…いたい、私も…一緒にいたい…!奏くんと付き合いたい……!」


「それじゃあ最後に観覧車にでも乗ろうか。早く結愛に――」




『キスしたい』


「え、ちょ、奏くん、待って。その…あの、こ、心の準備がまだ……。」

「ごめんね、僕、思っていたよりもHみたいだし、束縛強いみたい。」



半ば強引に手を引かれる。

奏くんってこんなに強引なの…!?聞いてないよ~!


「そ、その、まだ実感がなくて、頭がついてかなくて、その、あの……。」



焦っていると私の体が抱き寄せられ唇に温かい触感。離れるときに唇を舐められた。



「ごめん……我慢できなかった。」
「わ、私、倒れそう……。」


「さ、観覧車いこっか。」
「いま、キスして……。」

「まだデートは終わりじゃないでしょ。」


「か、奏くん、何する気!?」

「さあ、ナニすると思う…?」




奏くんの不敵な微笑み。絶対に何か悪いこと考えてる。


「あの、その、前もって言っておくけど、私痛いこととかそういうのは……。」

「痛いコト…?結愛は何を想像したのかな?結愛もHだね。」

「え、あ、ちが……」

「気持ちいいことしかしないよ。だから安心して、結愛。」





どうやら私の片思いは実ったみたいだけど、しばらく奏くんには振り回されそうです。
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