隣のキケンな王子様!
「よかった。浴衣着てる時に少しだけでも花火見れて」
完全じゃない、半分だけの花火を見ながらつぶやくと、
「あんなに急いで出掛けてって、帰りまで急いで帰ってくることねーだろ」
笑ってからかう郁己くんは、だけど、理由を聞いてこない。
この人……軽いけど、案外気を使える人なのかも。
単に、あたしが戻ってきた理由なんて興味がないだけなのかもしれないけど。
聞いてやるよ、っていうような、話しやすい雰囲気の持ち主であることは確かだ。
イケメンの顔に伴って、その辺が女の子に人気がある理由なのかも。