隣のキケンな王子様!
つま先立ちして身を乗り出すと、
「危ねっつーの。乗り出すなって言ったろ?」
襟元を猫みたいにつかまれて、戻された。
「あーっ。着くずれちゃうじゃんっ」
「いいだろもう。何か分かんないけど戻ってきたんだし」
「……」
「ほらっ、上ったぞ」
「え?」
指をさされた方向に振り向くと、
「あっ、花火!」
「見えんだよ、こっから」
「へー。すごーい」
「見にくいけどな、少し」
「うーん。だね。半分とかだね」
ビルと看板の間から見える花火は、右と左のどっちかが欠けていて、丸いままでは見ることができない。
上る場所によっては完全にビルに隠れちゃう。
でも花火が見れたことで、ちょっとだけ塞いでいた気持ちが回復した。