隣のキケンな王子様!
タオルケットの中のカラダが、汗ばんで、息苦しい。
郁己くんの残り香が……胸の奥をきゅっと締め付けるから余計に。
「……郁己くん」
どういうつもりで、あんなこと言ったの? あんなことをしたの?
あたしも……大勢の中のひとりなんでしょ?
しばらくしてから開けた窓の外。
お隣のベランダには、明かりが漏れていなかった。
雨上がりの景色に目を凝らしてみたけれど、人影はどこにもなくて。
遠くの空の、にじんだ明かりしか探せなかった。