隣のキケンな王子様!


「……殴られてぇのか」



低く響く声が、目の前の顔色を変えさせた。



「早く出てけ」


「……っち。離せよ」


「2度と顔見せんな」


「こんなオンナかばうなんて、あんたもバカだな」



あたしを一瞥した男の人は、郁己くんの腕を振り払った。



玄関ドアを叩きつける音がして男の人の姿が消えると、


水を打ったような静けさが部屋の中に広がった。



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