隣のキケンな王子様!




本当のことを知ったあの夏。



あれから何度か、郁己くんとふたりで幼いころの話をすることもあって。



忘れたと思っていた出来事や、色や、景色が、


少しずつ……形を成してきた。


王子様にオルゴールをあげたことも、思い出したり。



だけど。


何となく、腑に落ちない部分もあった。


どこか、歯車がかみ合わないような、そんな。



あたしの好きだった王子様は、もう、この世にはいない。


なのに、何かが引っ掛かる。



郁己くんに、確かめてみたかったけど。


でも、聞かないままで1年が過ぎた。



< 416 / 458 >

この作品をシェア

pagetop