離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす


「そういやいずみさんって料理するんだ」


 和也さんの向こう側から滝沢さんがひょこっと私の方を覗き込む。


「そりゃ、しますよ」
「へー、食ってみたい」


 え、なんだか、思いもよらない方向に話しが進んでしまっている?

 ただ袋煮を作ってみたかっただけなのに。それに、私の酔いが回っているからだろうか、どうも微妙な空気が流れているような気がしてしょうがない。

 とりあえず私は大人なので、話を合わせておいた。


「じゃ袋煮作るときはお誘いします。三人で宅飲みでもしますか?」
「お、いいな。たまにはそういうのも」


 滝沢さんはすっかり乗り気だ。その滝沢さんの頭に、和也さんがべしっと手刀を落とす。


「図々しいなお前は」
「いって。いいだろ別に」


 仲が良いふたりは、多分私たちの契約結婚が無ければ家に呼んだり呼ばれたり、そういう付き合いをしていただろう。私がいるからこの三年出来なかったのかもしれないな、と思えば、家を出ていくまでに一度くらいはそういう機会を私が作ってあげるのもいいかもしれない。

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