離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 確かに信頼していた仲間の紹介というのは、強い。けれど、ろくに面接らしい会話もしなかったのに。
 何か自己アピールになることを話せるようにと、それなりに頭の中にまとめてあったのに、それを披露することもなかった。学歴や取得した資格は履歴書に書いてあるから、と。いつから来れるかとすぐに聞かれて、それからはただの雑談だけだったのだ。

 採用してもらったのは助かったから、もちろん文句は言わないが。いや、言う。文句は言う。言うぞ。

「人が足らなすぎです! 私秘書業務ほとんど出来てないですよ!」

 事務と兼任で、とは聞いたけれど、私がしている仕事のほとんどが書類作成やデータ管理などの事務作業で、秘書業務でやってることと言えばスケジュール管理とメール対応くらいだ。仕事全体で言えば二割にも満たない。

 そしてこの事務作業がとにかく多い。
 なのに社員のほとんどの人材が開発の方に取られて、残った一部が営業。事務の人員が極端に少ない。

「仕方ないんだよ。SEとかは忙しいしそれどころじゃないんだけどさ……」
「ですから、皆さんの仕事をサポートする事務員を」

「事務ってオフィスに基本いるだろ。社長も忙しくしてるけど、接するチャンスがそこそこあるせいか、みんな期待しちゃうんだよな……」

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