私に恋する可能性


……


足痛いな


ひょこひょこと足を庇うように歩き、近くの石段にもたれかかる


…これでよかったんだ


多岐くんとちょっと会えただけでも喜ばなきゃダメなのに


『ゲーム相手』


その言葉を聞くだけで、胸が何かに刺されるみたいにチクチクする


ゲームだってなんでもいいから多岐くんがくれたチャンスをどーのこーの…


そう言ったのは私でしょ?


何落ち込んでんの

何ダメージ食らってんの


そんな弱くないでしょ?


しっかりしてよ間部ひなた



多岐くんが私を好きじゃないことなんてとっくに知ってる


その気持ちがなかなか変化しないことも知ってる


それでも花火大会に来てくれたから


連絡をくれたから


舞い上がって喜んでた



忘れちゃダメなことを忘れかけてた


まだまだ先は長いんだから



…偶然なれた彼女の地位に甘えてちゃダメだ

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