私に恋する可能性



ざわめき、現れては消えを繰り返す人の群れ


……ここにいたって仕方ない



多岐くん達と鉢合わせる前に帰ろ


まだ痛む足に体重をかけ、踏み出す


ガクッ


!


思ったより足に力が入らず前のめりになる


やばっ!倒れるっ


しかし


ドンッ


!


前方、何かに支えられるようにして倒れかけていた身体が止まった


「わー…びっくりした」


?


聞きなれない声

目を開けると私の体を支えている誰かの腕


あ、てか!

私この人に全体重かけてる!


慌てて目の前の人物から体を離す



「あの!ごめんなさい!わざとじゃないんです!」


「いや、べつにいい…けど」


前方の人物を見上げる


……?


あれ?この人、どっかで見たことある気がする


真っ黒で少しだけクセのついた髪と綺麗な白い肌


その人は目をまん丸にして私のことを凝視している


「あ、あの?」

「…」


?


え、な、何?なんかついてる?


「あのー?」

「…」


?

え、人間だよね?人形とかじゃないよね?


「あの!」

「っ!え、あ、何?」


いや何じゃなくて


「どうかしました?」

「あ…いや、なんでもない」


?

なんだったんだ…

まあいいか


「あの、助けていただきありがとうございました」

「あ…うん」

「では!」

軽く会釈して再び、今度はしっかり足に力を入れて踏み出す

しかあし


パシッ


「待って!」


!?


「ええ?」


黒髪に白肌の男の子が私の腕を掴んだ


「あ、えっと…」


?


「あ…いや、ごめん。なんでもない」


ええー…


男の子の手がスッと離れる


今度こそ軽く会釈をして足を進める


もう止められることはなかったけど



…なんだったんだ?


< 96 / 270 >

この作品をシェア

pagetop