エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
「朝比奈さん? 緊張してる?」
「ま、まぁ……それなりに、です」
とても緊張してるけれどそんな正直には言えないよ……だって、一応仕事に行くんだし。
「そう? ならいいんだけどあまり緊張しなくていいよ」
そう言う彼の横顔はやっぱり綺麗で……運転する姿が、大人の男性という感じでとてもかっこいい。
「……あの、今日お仕事は?」
「半日有給をとったから昼には出勤するよ。だから気を使わないでね」
わざわざ有給取ってくれたんだ……電車で行けば良かったなぁ。
「ごめんなさい、迷惑をかけちゃって……」
「迷惑じゃないよ。俺がしたいと思ってやっているから……これから迷惑をかけるのは俺だしね」
いやいや、私は家賃タダで食事も負担してもらうのに……。
「食材が揃ってないから、スーパーに寄ろうか」
「あ、はい……」
五十嵐さんは意外にも近所にあるような普通のスーパーへと入った。イメージとしては、会員制のスーパーだったよ……。
スムーズに五十嵐さんは駐車すると、ドアを開けてくれて手を差し出された。
「どうぞ」
エスコート上手いなぁ……慣れてるし、育ちがいいんだなとも感じられる。
「ありがとうございます、五十嵐さん」