エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
「そうだ、俺のことは麗央って呼んでくれないかな? ……名前で、呼んで欲しい」
「え………?」
急に名前呼びは……御曹司さまだし、男性に免疫のない私にとってはハードルが高いし恥ずかしい。
「なんで、ですか?」
「外では、奥さんになって欲しいなぁと……俺も美唯って呼ぶし敬語も禁止ね?」
「私は名前呼びは大丈夫です……だけど、五十嵐さんのことを名前呼びは恥ずかしい、ですっ……ごめんなさい」
そう言い、五十嵐さんを見上げてみる。
すると、五十嵐さんは驚いた顔をして「まいったな…」なんて呟いた。
何かまずいこと言っちゃっただろうか。やっぱり、名前呼びしなきゃダメ?
「早く、買い物をしようか……時間が勿体ないね」
そうだよね、五十嵐さんお昼からお仕事だもん。
五十嵐さんは私から顔を逸らすと、スーパーの入り口へと向かった。