愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
陣痛開始からおよそ八時間、明け方の分娩室に産声が響いた。

顔を真っ赤にして鳴き声を上げる、小さい体の赤ちゃんを腕に抱く。
ずっと待ち望んでいたいとおしい存在にようやく会えたんだ……。
これまで感じたことのないくらい際限のないうれしさに、涙がこみ上げてくる。


「か、かわいい……」


純粋で無垢な泣き顔が私を頼ってくれているようで、心からいとおしく、絶対に守りたいと思った。

これからは私が守るから、安心して一緒に成長しようね。
元気いっぱいに泣く赤ちゃんに、私は精一杯心の中で語りかける。


「菜緒、ありがとう。よく頑張ったね」


私の額に滲んだ汗を拭ってくれた涼介さんの目にも、うっすらと涙が浮かんでいるように見えた。


「うん、涼介さんもありがとう」


それから少し休んで、病室に移った。
赤ちゃんは母乳の時間以外は二日目から母子同室になるので、ママは体を休めることができる。

朝になると、私の両親と涼介さんのご両親も赤ちゃんに会いに来てくれた。
涼介さんのご両親にとっては待望の初孫なので、とても喜んでくださった。

助産師さんに体を綺麗にしてもらった赤ちゃんは、眩しそうな目でみんなを見ているようだった。
顔は、涼介さんに似ているような気がする。
目は大きいし、将来涼介さんのような綺麗な二重目蓋になりそう。

きっとこれから周りのみんなに愛されて、すくすく育ってくれるだろう。
どんな女の子に成長するのか、今からすごく楽しみだ。
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