愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~



年明け、私は実家に里帰りした。
母と美弥子さんが女将の仕事の合間に代わる代わる産後のお世話を手伝うと言ってくれたので、そのお言葉に甘えることにした。

出産に向けての準備もどんどん揃っていった。
ベビーバスやベビーベッドは智美が貸してくれると言ったのだけれど、涼介さんが買って来てしまった。

八ヶ月を過ぎた頃、性別が女の子だと判明した。
すごく喜んだ涼介さんは服やおもちゃを大量に買い込んで、実家にも毎日のように届けてくれる。

マンションも、涼介さんのご両親からいただいた大量のベビーグッズでいっぱいだった。
早速溺愛っぷりを発揮している。

最初は弱々しかった胎動も、お腹を見て外からわかるくらい激しくなってきたのだけれど、臨月に入るとお腹が下がって胎動が感じにくくなった。

迎える準備万端で過ごしていた、二月の寒い日。
ちょうど予定日に検診に行き、実家に帰って来た夕方、ついに陣痛が始まった。

病院に連絡し、間隔を計りつつ、入院の最終準備をしてシャワーを浴び、軽くおむすびを食べた。
涼介さんにも報せ、まだ少し余裕があった。

時刻が八時を回った頃、陣痛の間隔が十分になり、母が呼んでくれたタクシーで病院に向かう。
涼介さんも病院に駆け、次第に強くなる陣痛を少しでも和らげるために腰と背中をマッサージしてくれた。

なかなか子宮口が開かず痛みの間にうとうとし、気がつくと夜中だった。
私が眠る間もずっとそばで見守り、マッサージしていた涼介さんが、心配そうな表情で見つめる。


「菜緒、水飲める?」
「うん……」


体を起こしてもらったとき、湿ったような感覚があり、おりものにしては違和感がある。
看護師さんを呼ぶとそれは破水だった。

いよいよ子宮口も開いたので、先生が来て分娩室に移動する。

ただただ痛みとの戦いだった。
うずくまって背中を強めに擦ると少しは楽になるけれど、いつ気絶してもおかしくないほどの激しい痛み。

母もこうして私を産んでくれたんだ……。
気持ちをしっかり持とう、と強く思った。
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