愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~



無事退院し、実家での里帰りを終えて親子でマンションに帰った。

新生児を卒業した美結は入院中からその片鱗を見せていたけれど、なかなか寝つかない子だ。
赤ちゃんはもっとずっと寝ているものだと思っていたけど、どうやら違うらしい。

夜はミルクを足すようにして、なんとか生活のリズムを作りたくて毎日必死だ。


「菜緒は休んでて。ミルクは俺が作るから」
「ありがとう」


ミルク作りにも慣れた涼介さんが気遣ってくれるので、夜に少し睡眠時間が取れて助かっている。

日中仕事がある涼介さんは寝不足だと困るので最初は断ったんだけど、どうしてもやりたいといって聞かなかった。
母乳はあげられないのだから、せめてミルクは自分が飲ませたいのだそう。
私はその言葉にちょっと吹き出して、ありがたく甘えることにした。

美結にミルクを飲ませる涼介さんはすっかりパパの顔だ。
包容力のある穏やかな顔つきで見守る顔も、ゲップをさせるために立て抱きにして奮闘している顔も、深い愛情を感じて止まない。

涼介さんが美結をベビーベッドに寝かせたので、私はベッドから起きてかわいい寝顔を覗いた。


「よく眠ってるね」


涼介さんがささやいた。
生まれたときよりも顔がくっきりしてきた気がする。
育児はわからないことだらけで大変だけど、成長が著しくて毎日楽しい。


「うん。でも何時間もつかな……」
「早くおもちゃでいっぱい遊んでくれるようになればいいな」
「どんどん大きくなるよね」
「成長が楽しみな気持ちと、ちょっと寂しい気持ちの半々って感じだな」
「寂しい?」


目をしばたかせ、私は涼介さんを見つめた。

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