隣の席の天宮さん
始まり
「だからやってねぇって言ってんでしょ? 何回言えば済むんだよ……」

 俺にとって史上最悪の出来事が起こっていた。

 事件の発端は遡ること一時間ほど前。

 駅構内で休憩所みたいな場所の並んだ椅子に座ってた俺は来た電車に乗ろうと席を立って慌てて休憩所を出てった。

 電車にギリギリの所で乗ったあの子は、慌ててたこともあって、扉が開けっぱなしになっていた。
 俺はそのまま開けっぱなしの扉を閉めようと席を立った時に、さっきの子の所持品だろうか、写真付きの生徒手帳とスマホが置かれていた。さっきの子がいた時にあったのならそれもそれでどうかとは思うが、さっきの子のものだったら、無視して盗難被害に遭われても困る。

 それに一見した感じ、同じ高校ぽそうだから担任に渡すか、兄弟がいればそいつに渡せば済むだろ。

 それこそが甘い考えだったようでこれが人生最大の汚点になりそうだとだいぶ後悔している。

「それにやったとしてなんで自分とこの。しかも一年の生徒手帳とスマホを盗まなきゃいけないんだよ。そんな安易なことする奴はバカなんだよ。置き忘れたから明日学校でって思ったから鞄にしまった。それだけだろうが」

「君の言いたいことはわかった。ではなぜ、明日学校にではなく、駅員に落とした人がいると言って持って行かなかったんだ?」

 ……出たよ。さっきからこれの無限ループ。これだけで小一時間話してる。頭の硬いおっさんだ。

「ていうか俺とここで話すより、早く本人に返したらどうなんだ?そうしたら手っ取り早くことが進むだろ?」

 こんなバカが警察官やってるとか日本の未来が心配になってくる。
 こうやって話してる間にも学校に確認とって家に電話なりすればいいのにそれさえも全くせず、進退がない話を続ける。

 俺が盗ったって言って昇進の糧にしたいだけか?

 呆れ返っていると、椅子に座ってる男より偉い人間が来たのだろうか、男はすぐさま席を立ち、入ってきた男に礼をした。

「すまないね。学校に確認取って生徒手帳の持ち主にも連絡は行ったから彼女ももうじき、こちらに来るだろうから。それまでこれを飲みながらまっててくれないか?」

「そんな! 窃盗犯を捕まえるチャンスなんですよ?! 先輩はミスミス逃すんですか?」

 入ってきた男はそう言って自動販売機で買ってきてくれたんだろうか、ペットボトルをもらった。

 この頭お花畑警官は何か勘違いしているが、まあ後は任せよう。
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