熄えないで





「恋してる、って感じ」

「…、うん」

「応援してる。俺も、咲斗も」




…ああ、やっぱりそうだったんだ。


やっと気づけた。
私は、吉乃くんが好きなのだ。



いつからだったのだろう。


成川くん付き合っていた頃はまだ曖昧だったような気もする。

吉乃くんと初めて触れ合ったとき、もともと至近距離は苦手なはずなのに、彼だけが平気だったのはそういうことだったのだろうか。



吉乃くんに会いたい。
一緒にいると落ち着く。

「好き」だといってもらって嬉しい。
でもすこしだけ、恥ずかしい。

帰ってしまうのは寂しい。

触れ合うたびに、距離が近づくたびにドキドキする。



ぜんぶ、ちゃんと恋だった。

吉乃くんが私に向けてくれている感情と、同じ温度の感情。



「好き」って、すごく心地が良い。





───って、気づけたところまでは良かったのだ。


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