不眠姫と腹黒王子

円side:目覚め




今日は嬉しかった。

宮と夜を過ごせた。

単純にそばにいれることが嬉しいのもそう。
眠れることもそう。

宮がいて、私は幸せな気持ちになれる。


そうだよね?


【…さない。】

あ、

今…

【…る、さない。】

誰と話してるんだっけ。

私がよく知っている人。

でも…

【…ゅるさない。】

怖いと感じる人。


【許さない。】

これは夢だ。

そうわかってる夢を明晰夢って言うらしい。

夢だってわかる。

だって、目の前で下を向いて、
さっきから言葉を呟いてるのは

『お…かあさん…』

【許さない。許さない。】

遠くで音が聞こえる。

これは…私がずっと目を背けてきたもの。
でも、すぐ背後でずっと私の首を絞めていたもの。


リリリリ…
『お母さん…あたし…』

【許さない。許さない。寝るな。寝るな。】

『私…あの…』
ジリリリ…
【ゆるさない。ユルサナイ!
寝るな、寝るなねるなねるなねるなねるな】
ジリリリリリリリ…
『ご、ごめん。ごめんなさい!』

【ねるなねるなねるな、一生寝るな。
お前が殺した。許さない。】
ジリリリリリリリリリリリリ!!!!

「いやあぁあああぁ!!!!!!」


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