不眠姫と腹黒王子
自分が美人だって自覚とかあんのかな。
今は寝れないことにばっか意識持ってかれて、
それどころじゃないのか。
「宮は、お祭りで何が一番好き?」
「え?あぁ、花火かな…。」
「へぇ、意外。
焼きそばとか言うと思った。」
「焼きそばなんていつでも食えんじゃん。」
「私はりんご飴。」
そう言って、りんご飴を見つけると、
円は二本買ってきた。
「はい。給料。」
「え、俺に?」
「うん。」
円は当たり前とでも言いたげに
俺にりんご飴を渡すと、自分の飴を舐めた。
いつの間にか、クラスの連中はどこかに消えていた。
「みんなどこだろ…。
結にLINEしてみよっかな…。」
「いいよ、来い。」
正直夏祭りにみんなで一緒に行くとか、
面倒になってきたところだった。
俺は円の手を引き、神社の本殿の方へ連れてきた。
側の石垣に座って、もらったりんご飴を舐める。
まぁ悪くない味だな。
「合流しないの?」
「いいんだよ。
めんどくさいし、今日はもう爽やか演じるの疲れた。」
「ふーん…」
円は気にしない様子で飴をなめている。