狼の愛したお姫様
そしてそんな生活が続く中、人生最大の事件が起きた。
それは俺が15になった、冬の事。
「ごめんね、冬真…」
その手に持たれた物はナイフ。
そして母さんの隣に倒れる親父。
「母、さん…?」
涙を流しているのに、口角は上がっていて。
感情のコントロールが出来ないみたいに、自分がどういう表情をしているか理解出来ていない母さんは、ゆっくりと俺に近づいてくる。
「ごめん、ごめんね冬真…。母さん、疲れちゃった…」
そして母さんは俺の手を握り、その手にあるナイフを振りかざした。