寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
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まだ夕方の六時過ぎだというのに、窓の外は真っ暗だった。
雪乃は定時で退社し、たどり着いた自宅に引きこもっている。
先週から晴久の家に入り浸っていたせいで、荷造りのためだけに利用していた自宅は荒れていた。
とりあえずそれを片付けると、整った部屋で、まだ黒いカーディガンのままソファに横になる。
床に置いてある荷物に手を突っ込み、スマホを取り出した。
【ごめんなさい。今日は会えません】
昼の晴久のメッセージにそう返信をしたのが、午後五時のこと。
既読が付いているものの、それに対する返事は来なかった。
【ちゃんと話そう】という彼のメッセージに、じわりと涙が滲み、視界が霞んでいく。
(終わっちゃうのかな……)
スマホを抱きしめ、額をつけた。
晴久に知られずに噂が風化してほしいと思っていた。家に行き来していてはまた誰かに見られ、噂になるかもしれない。
過去のストーカー事件でトラウマがある晴久に噂になっていることが知られれば、やはり付き合いはやめよう、と切り出されるはず。
雪乃はそれが怖くてほとぼりが冷めるまでなんとか彼と距離を置き、なにもなかったことにできないかと悪戦苦闘していたのである。
しかしもう知られてしまった。
こうなった以上は晴久と会って意向を聞くべきなのに、別れを切り出されるかと思うと怖くてそれもできない。
晴久から逃げたままこの部屋に帰るしかなかった。