寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「荷物は自由に置いてもらっていいですから。細川さん、夕食は?」
「会社で食べたので私は大丈夫です」
「俺も出先で済ませてますので。ならもうこのまま寝るだけですね。シャワーはそちらの扉の向こうですから、どうぞ先に使ってください」
〝シャワー〟というワードにどちらも妙な気分になり、雪乃はそれを払拭するべく「はい」という裏返った返事をする。
持ってきたバスタオルと洗面用品、パジャマを抱え、いたずらをした子供のようにコソコソと脱衣所へ引っ込んだ。
脱衣所の扉に仕切られているものの、雪乃はすぐそばに男性がいるのに服を脱いでいる自分が信じられなかった。
順序どおりに眼鏡とマスクを外し、巾着に仕舞う。
鏡には、自宅以外で素顔になり戸惑っている自分が写っている。
どこも汚さないよう細心の注意を払いながら、賃貸にしては広いバスルームに入り、調整しながらシャワーを出した。