寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

しかし皆子は納得がいかない。

「なにも知らない皆はね、うちの総務部の一番美人はあの岩瀬さんだって思ってるんだから」

彼女は親指で背後の席をさした。
そこはまだ出社していない岩瀬の席。

「新入社員の岩瀬さんですか? 大人っぽくて綺麗ですよね。ショートカットがくるんとしててお洒落だし」

「いや、雪乃ちゃんの素顔を知ってる私からすれば、ナンバーワンは雪乃ちゃん!」

バン! と熱くなった皆子がデスクを叩いた。

「そんなことは……」

謙遜する雪乃に、皆子は身を乗り出して攻め続ける。

「その髪も巫女さんみたいに結ばないでさ、巻いてアップにしたら可愛いのに。あと体型も。雪乃ちゃんが爆乳だって知ったら男たちは手のひら返すに決まってる」

「皆子さんっ」

控えめな雪乃も〝爆乳〟というワードを出すのはやめてほしいらしく、小さく声を張って制止した。

腕を交差させて胸を隠し、子ウサギのような目で皆子を睨む。
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