寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
フロアに到着すると、雪乃はスマホ画面とにらめっこを始める。
先ほど晴久と会社が同じであると判明して雪乃自身も驚いているが、会社の中でいきなり雪乃を目にした晴久の方が驚いているだろうと思い、ここで彼に連絡を入れた方がいいのではと考えたのだ。
初めて連絡をするきっかけにできる。するなら始業前にメッセージを送りたい。
メッセージは冒頭の【細川です】からなかなか先へ進まず、五文字ほど続きを作っては消してを繰り返した結果、当たり障りのない挨拶のみの文章が完成した。
【細川です。先ほどはビックリしてご挨拶できず、すみませんでした。同じ会社だったんですね】
思いきって送信した。