白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
長谷部稜(ハセベ リョウ)

わたしの中では、17歳になった今でも“稜ちゃん”なんだ。


花森百合子(ハナモリ ユリコ)

稜ちゃんはわたしのこと、大きくなるにつれて呼び方が変わっていったよね。

最初は“百合子ちゃん”だったのが“百合ちゃん”になって、同じ中学校の頃には“花森”って名字になって。

・・・・高校3年生の今は“おい”か“マネージャー”。


でも、それでもいいって思っているんだ、わたし。

稜ちゃんが野球ボールを追いかける姿、バッターボックスで構える姿、歯をくいしばってダッシュしている姿、練習が終わったあとの爽やかな笑顔・・・・。

それを近くで見られるだけでも満足なんだ、わたし。


だから、スポーツが苦手なのに野球部のマネージャーになったんだもの。

気づいてもらえなくてもいい。

わたしが稜ちゃんに恋をしているってこと、気づいてもらえなくてもいいからそばで見ていたいの。

だって稜ちゃん、稜ちゃんは野球に恋をしているから。





それがわたしの勝手な片想いで終わるとしても・・・・。
 

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