白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
稜ちゃんは必ず打つ。

わたしを必ず甲子園に連れていってくれる・・・・。


「稜ちゃん・・・・稜ちゃん・・・・」


わたしは、お守りを握りしめながら呪文のように稜ちゃんの名前を唱えていた。

もうダメ・・・・。

わたしの頭は自制心が効かない。

誰が聞いているかも分からないこんな場所で、キャプテンを“稜ちゃん”と呼ぶのはどんなことなのか・・・・。

もう判断ができなくなっている。

頭の中や心の中、体中を占領しているのは“稜ちゃん”だけ。

稜ちゃんだけなんだ・・・・。





稜ちゃんが打席に入ると、テーマ曲の『狙い打ち』が演奏されはじめた。

澄み渡った青空も真夏の太陽も、全部が全部稜ちゃんの味方・・・・。

大丈夫、必ず打てる!


稜ちゃんは打席に入ると、すぐにイチローを真似してバットを一回グルッと回した。


・・・・ホームラン予告。

本当に打つ気でいる。

かっこいい・・・・。


そして、足場を入念に整えると、おもむろに構えて威圧感たっぷりにピッチャーを睨んだ。
 

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