白球と最後の夏~クローバーの約束~
高校最後の夏。
ここで終わるんじゃなくて、それがまだまだ続いていくんだ・・・・。
ここから始まるんだ・・・・。
夢の甲子園。
それが目の前にある。
こんなに素晴らしいことなんて、もしかしたら一生かかっても見つけられないことかもしれない。
そんな場面にわたしも一緒にいられたこと、一生の誇り・・・・。
優勝旗を誇らしげに受け取る稜ちゃんの横顔は、いつになくわたしの心をぎゅーっと締めつけた。
青雲の応援席へみんなを引き連れてあいさつをしに行く稜ちゃんの背中は、いつになくわたしの涙を誘った。
きらびやかな装飾がちりばめられた優勝旗を見せてくれた稜ちゃんの笑顔は、いつになくわたしを最高の笑顔にしてくれた。
「これでお前との約束が1つ守れたよ。ありがとな」
そう言ってわたしの手を握ってくれた稜ちゃんの手は、熱くて優しくて愛しくて・・・・。
「・・・・ううん。わたしのほうこそありがとう・・・・稜ちゃん」
わたしはまた、どうしようもないくらいに稜ちゃんに恋い焦がれたんだ・・・・。