白球と最後の夏~クローバーの約束~
「百合子、ちょっといい? お粥作ったの、食べられる?」
コンコンッとノックのあと、ドアの向こうからお母さんの声。
お粥、食べられるかな。
「ん〜・・・・」
微妙かもなぁと、どっち付かずな返事をするわたし。
すると、お母さんはとりあえずといった感じで部屋に入ってくる。
その間に、わたしは頭までかぶった布団を鼻のあたりまで下げて、目でお母さんを追う。
「ここに置いとくからね、お粥。それと・・・・」
小さいテーブルにホワホワと湯気が立つお粥を置くと、お母さんはキョロキョロと辺りを見回す。
「・・・・なに?」
「あ、稜君に頼まれたものがあるのよ。データブック。顧問の先生のもあるけど、百合子のも貸してほしいって」
「下にいるの!?」
「ちょうど今来たところでね。だから早く渡さないと・・・・」
そう言いながら、さらにキョロキョロと部屋を見回すお母さん。
きっと、わたしがガバッと布団を跳ねのけたのも、顔がパアッと明るくなったのも分からないよね。
「それならバッグの中・・・・あぁ、違うよ。そっちじゃなくて!」