初恋ラプソディ
「けが人の世話をするのも班長の仕事。」

そう言って、友哉はズンズン進んでいく。

水の中にいる間は見えないし、浮力もあるから良かったけど、当然、海岸に向かって歩けば、水深は浅くなり、私の体は水から出てしまう。

生まれて初めてお姫様抱っこをされ、どうしていいか分からず、私はおとなしく友哉の首にしがみついていた。

お姫様抱っこって、顔、近っ!

すぐ目の前に友哉の顔がある。

砂浜に着くと、ライフセーバーのお兄さんが走ってきた。

「どうしました?」

「足がつって… 」

私が言うと、

「とりあえず、下ろしてもらっていい
ですか?」

私が砂浜に下されると、

「右ですか? 左ですか?」

と確認して、処置をしてくれる。

「今日は暖かいとはいえ、まだ水温は低い
ですからね。」


私はしばらく休んだ方がいいと言われ、砂浜から見学をすることにした。

「友哉はもう行っていいよ。」

私が声を掛けるけど、友哉は私の横に並んで腰を下ろした。

「美音。」

「何?」

「美音が吹部の先輩と付き合ってるって、
ほんと?」

何? 突然。

「付き合ってないよ。誰に聞いたの、そんな
デタラメ。」

「忘れたけど、そんな噂を聞いたから。」

「噂だよ。付き合ってないから。」

「美音。」

「何?」

友哉の声のトーンがおかしい。

いつもの落ち着きがない友哉じゃない。

「だったら、俺と付き合わない?」

「は?」
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