初恋ラプソディ
あれ? ここ、見覚えがある。

デジャヴ?

なんで?

私は部屋を見回す。

「美音、どうした?」

奏先輩が不思議そうに首を傾げる。

「ん、なんか、見たことがある気がして。」

すると、奏先輩はハッとしたように口元を押さえた。

奏先輩は、部屋の片隅に置かれたエレクトーンをチラチラと落ち着きなく見ている。

どうしたんだろう。

私もつられてエレクトーンを見て気づいた。

嘘!

ここ、奏者さんの部屋!!

「奏先輩って、奏者さんなんですか!?」

「あーーー 」

奏先輩は頭を抱えて座り込んだ。

「美音が見たことがあるって言うから、
まさかとは思ったんだけど、美音、
ユーチューブ見るんだ?」

「見ます! っていうか… 」

どうしよう。

言うべき?

私、奏先輩のことを奏者さんに相談してたよね。

すっごく恥ずかしいんだけど。

「っていうか、何?」

奏先輩に尋ねられて、私には黙っていられなかった。


「あの、奏先輩?
私、あの、私の名前、英訳してみて
もらえます?」

「美音?
Beautiful Sound?
え? Beautiful Soundって、まさか…
え?」

「はい。」

奏先輩はますます頭を抱えてしまった。

「マジかー」

その日、私たちは中間テストが近いのに、全然勉強にならなかった。
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