激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
反論できなくなった私は、彼の厚い胸板に頬をくっつけて顔を隠した。

まだバクバクと激しい音を立てる彼の心臓に気づいて、果てたときの彼の悩ましい表情を思い出してしまい、耳まで熱くなる。


「もう、ここに引っ越しておいで」
「引っ越し?」
「うん。結婚するんだし、いいだろ?」


さっきは勢いに任せて自分の気持ちのままにプロポーズを受け入れてしまったが、よく考えると彼は将来太平物産を背負う身だ。

その妻がごくごく平凡な庶民の私で受け入れてもらえるだろうか。


「私の両親は太一さんのことを大歓迎……というか腰を抜かして驚くと思いますけど――」

「大丈夫」


『太一さんのご両親は?』と聞こうとしたのに、途中で自信満々の返事をされた。


「俺たちの周りは、いわゆる政略的な結婚を選ぶ人もいる。子供の頃から許嫁がいたりね」


許嫁って、そんな風習が今でもあるんだ。
やはり住む世界が違う。


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