激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
すっかり荷物の準備が整っても、ブーケの最終調整をしている西田さんはなかなか顔を出さない。

なにかトラブルでもあったのかな?と思い、バックヤードまで迎えに行くことにした。


「西田さん、そろそろお時間です」


ブーケはできあがっているのに、彼はなぜか放心している。


「わかった」


視線を合わせることなくぶっきらぼうに返事をよこした彼は、ブーケを手にして立ち上がった。


「西田さん、どうかされましたか?」


思いきって尋ねると、彼は難しい顔をする。


「ごめん。重森の婚約者があんまりすごい人だから、自分が情けなくなって」
「情けない?」


西田さんはフローリストとしての腕は一流だし、明るくて頼もしい男性なのに。


「俺の奥さんも、あんな人と結婚したかったのかなとか考えるわけだよ」


どうしてそうなるの?


「奥さんになにか言われたんですか?」

「実は、子供ができて」

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