激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「そう、ですね。私はこれで失礼します。今日は楽しかったです。ごちそうさまでした」


店長からお代は宝生さんが持つと聞いているし、先ほど彼が仲居さんにカードを渡していたためお礼をして立ち上がると、腕をつかまれた。


「これで終わりみたいな言い方ですね」


うわっ、鋭い。


「私のこと、苦手ですか? いや、嫌い?」
「そんなわけありません」


楽しかったのは本当だし。
でも、太平物産の御曹司なんて聞いたら、庶民は腰が引けるのよ!


「よかった。このまま振られるのは納得できない」


振られるもなにも、このお見合いにふさわしくないのは私のほうなのに。


「やっぱり一緒に行きます」
「えっ、ちょっ……」


宝生さんは私の戸惑いなど気にせずグイッと手を引く。
そして味楽の玄関に横付けされていたタクシーにそのまま乗り込んだ。

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