氷の美女と冷血王子
「青井さん、今夜僕を呼び出したのは河野副社長のことを知りたいからですよね」
いつもは控えめな三島さんが、怖いくらいに強く私を見ている。

「え、あ、それは・・・」

そうだ、この人は河野副社長の腹心で専属秘書。
たとえ縁故であっても、あの河野副社長が無能な人を側に置くはずはない。

「良いですよ、何でもお答えします。ただし、今夜一晩、僕と付き合ってください」
「えっ、それは・・・」

私だって子供じゃない。
三島さんの言うことがどんな意味なのかわかっている。
そして、それは孝太郎を裏切ること。

「無理にとは言いません」
ニヤリと、意地悪な顔をした三島さん。

「本当に、情報をいただけるんですか?」

どうしても、情報は欲しい。
たとえ、孝太郎との関係が終わるにしても、今回の件は自分でけりを付けたい。
でも、三島さんの事を信じて良いのだろうか?

「大丈夫です。あなたと2人で一晩過ごせるならそのくらいの価値がありますから」

淡々と話す三島さんのどこまでが本心で、何が嘘なのかはわからないけれど、こうなったら正面から切り込んでみよう。
ここまで来たらそうするしかないと、私は決心した。

「わかりました、参りましょう」
< 172 / 218 >

この作品をシェア

pagetop