氷の美女と冷血王子
「孝太郎とは、会ってないのか?」

お前ら、好き合ってたはずだよな。

「ええ。病院で会ったのが最後よ」

何でもないことのように、麗子は答える。

ッたく、2人とも意地っ張りだな。
どうしてこんなにまどろっこしいんだか。


あの日、救出された麗子は病院へ運ばれ診察を受けて入院することになった。
幸い骨折はなかったが、打撲と切り傷はかなり酷かった。
その上水をかけられたまま1日過ごしたせいで熱が出ていて、かなり弱った状態。
診察した医師の判断でママが呼ばれた。

「麗子、何でこんな目に・・・」
言葉を詰まらせるママに、
「申し訳ありません」
孝太郎が深々と頭を下げる。

「お前のせいじゃないだろう」

見かねた俺がいくら言っても、孝太郎はピクリともしない。

「すべての責任は俺にあるんです。申し訳ありません」

いつも強気で決して弱いところを見せることのない孝太郎の姿に、俺も言葉に詰まった。

孝太郎は、今回の件の責任を感じている。
自分が麗子を傷つけたと思っているんだ。

「専務さん、頭を上げてください」

ママの何度目かの言葉で、孝太郎はやっと体を起こした。
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