氷の美女と冷血王子
「何が食べたい?何でも付き合うぞ」

孝太郎がやたらと機嫌を取ってくれる。

理由はわかっている。
さっき、街中で私を抱きしめたから。
孝太郎は、そのことを私が怒っていると思っている。

フフフ。
かわいい。

実際、私は怒っていないのに。
もちろん恥ずかしさはあるけれど、好きな人に抱きしめられて嫌な気持ちになるはずはないんだから。

「昨日はフレンチだったから、たまには寿司でも行くか?」

黙ってしまった私に、孝太郎が色々と提案してくれる。
けれど、孝太郎の言うお寿司ってきっと回っていない高級店。
ちょっと敷居が高いなあ。

「回転寿司は?」
「ええ?」

正直言って、高級なお寿司よりオニオンとマヨネーズがのったサーモンが好き。
ウニだってイクラだって半分キュウリで隠れているくらいがちょうどいい。

「それでいいのか?」
「うん」

私には十分ご馳走。

「でも、その後はあそこに行きたい」
おねだりするようににっこり微笑んでみた。

「ククク。いいよ。麗子、あの店好きだなあ」

孝太郎も賛成してくれた。
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